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KOKOPROは中小企業の人材育成をサポートするコンサルタントです。

会社方針コラム・クレーム対応

KOKOPRO代表 田木暁子(人材育成コンサルタント 研修講師)

約3000人の育成に携わってきた経験から『人を育てる』『働きやすい職場をつくる』ことについて熱く綴るコラムです。

クレーム対応

  1. クレームのほとんどは発生していない!?
  2. クレームをKSSしていますか?
  3. 上司の耳に入るクレームは○パーセント!?
  4. クレームを受けたスタッフを叱ってはいけない
  5. クレーム対応時に全身から出てしまう○○メッセージ
  6. クレーム対応で一番やってはいけないこと

1.クレームのほとんどは発生していない!?

かつてブライダル業界におりましたときにクレーム対応をしておりました。ブライダル業界というのはクレームが発生しやすい現場です。一生に一回のことですし、家族や上司にも関わる事ですし、払う金額も大きいからです。普段なら「ま、いっか」と許せることも「こればっかりは許せない」になるのです。

ブライダル業界で、約500組以上の方のお手伝いをさせて頂いた経験は、私にとってクレーム対応は勿論、サービスについて学ぶ本当に貴重な経験となりました。

さて、クレームのほとんどは「発生」していないというのはどういう事かと申しますと。私はフリーのMCプランナーというちょっと特殊な仕事をしておりました。九州では一人、西日本でも数名、全国でもあまりいないと思います。「司会は勿論ですが、それまでのプランニングもお手伝いしますよ」というお仕事です。インターネットにサイトを開設して、お客様から直接お申し込みを受け、福岡と熊本の主な会場はほとんど入らせて頂きました。

その際にあらゆる業種に対してお客様は不満や不快を感じているという事を知りました。と同時に、お客様が実際にクレームとして主張することは稀なケースだとう事も知りました。

ブライダルの現場では「これを言ったら自分達の結婚式に不利かもしれない」と思うからですが、それ以外の業界の場合は
「どうせこれを我慢すれば今回限りだし」
「嫌な人と思われなくない」
「主張するのに勇気がいる」
「面倒くさい」
「相手が怖い」
などの理由があるようです。

言いたくても我慢をして何事もないようにしていらっしゃった方は予想外に多いのです。「みなさんこんなに我慢なさってるんだ!」と驚いたのを覚えています。

日本は「主張をする」文化ではありませんから、そういうのも手伝っているのでしょう。いずれにしましても
すごく嫌な思いをしても
すごく悲しい経験をしても
すごく腹が立ってはらわた煮えくり返るようであっても「言わない」を選択する人は案外多いのだと知りました。

そして「一般的に表面化するクレームは、同じように感じている不平不満の1割程度」という事を研修講師を始めてから知りました。ほとんどの方は主張することなく、そこを去るか他で発散するかをしているのです。

クレーム対応については、まずはこの事実を心得ておくことが非常に大切です



2.クレームをKSSしてますか

記録、整理、整頓でKSS。
クレームが発生した場合、表面化するクレームは同じような不平不満の約1割しかないということは「同じような不満や不快を感じた方は10倍いらっしゃるのだ!」と思えば対応も変わってくると思います。

「色々と口うるさい客だなぁ」
「困った人だなぁ~」
だけで済ませると、クレームは増えます。

「何とか謝って納得して頂けた」
「やれやれ今回は大変だったね」
で済ませると同じような事がまたやってきます。

1コ芽を摘んでも、まだクレームの種は地下にあと9コ眠っているからです。
いつ芽が出てもおかしくない状態で。
こわい話です。

表面化するお客様の声は違っても元を正せば原因は同じということは多々あります。

これまでお手伝いさせて頂いた中で、最も多い原因は
○チーム内の報連相ミスでクレームになる
○先にアナウンスすることで防げるものを防げてない
この2つです。

報連相が上手くいかない原因は、チームのシステムの問題です。
個人の能力云々よりも、チーム全体が自然と報連相できるシステムになっているかどうかが大きく影響します。
仲がいいとか仲が悪いとかそういう理由で報連相が上手くいかないとおっしゃる方も少なくないですが、仲がいい、仲が悪い、個人の能力が高い、低いというようなことは、システム次第でかなりカバーできます。

また、先にアナウンスすることで防げるのに、それに気づかず同じクレームを受け続けるチームもあります。
先にアナウンスというのは、例えばみなさんがよく目にする「駐車場でのトラブルは…」「商品を開ける際に飛び散る恐れが…」などの『先に言っておきますが』というようなことです。先に言っておくかどうかで、同じようなことが起こってもクレームの結果は大きく違います。

一つのチームに起こるクレームは似通っていますから原因を突き止め、改善策を実行するとクレームは減少します。まずは2か月くらいでも大丈夫です。クレームを記録してみてください。




3.上司の耳に入るクレームは○パーセント!?

クレームはKSSが大切。
記録として残し整理整頓することが大事と書きました。

ですがそもそも、クレームはあらゆる所で起こるので、各自がそれぞれの現場で発生したクレームを正確にかつスグに報告してくれないと意味がありませんし。

クレームが発生したら、できるだけ速く把握し改善策を立てられる。そんなチームになっておくことはクレーム対策で何より大切です。クレームとして表面化するのが1割位。そのうち上司の耳に入るものが半分だったとして、実際に管理職レベルが知ることのできるクレームは5%に満たないかもしれないと思います。

こんな事がありました。ブライダルプロデューサー時代。
電話して下さったのは新郎のお姉さまです。
新郎姉「実は披露宴の中で、弟(新郎)の友達のスーツにスタッフの方がコーヒーをこぼしちゃったらしくて。弟の友人は大丈夫大丈夫気にしないでって伝えたそうで。私も知らなくて今知ったんです。お友達とはいえ招待したゲストだからクリーニング代を出した方がいいかなぁと思ってどうしましょう。」という内容でした。

私は
「よくお電話してくださいました。お姉さんがお電話下さらなかったら誰も知らずにおりました。大変失礼いたしました。」と謝罪とお礼を述べ、コーヒーをこぼしてしまった方の連絡先を伺いました。

その後の経過は以下の通りです。
・コーヒーをこぼしてしまったお客様のご自宅に連絡
・ご本人がいらっしゃらなかったのでおばあちゃまに事情を説明し謝罪
・クリーニング代を送るために(ご遠方の方だったため)住所を確認
・さらに改めてご本人様にご連絡
・サービススタッフの派遣元に連絡
・派遣元の専務と話し合い派遣会社がクリーニング代を支払うということに
・派遣会社専務よりわが社に謝罪
・派遣会社よりお客様に謝罪&送金
・新郎ご本人にも謝罪
・全ての結果を改めてお姉さまにご報告し再度謝罪

もしもその場でスタッフがスグに報告してくれていたら
・その場で会場担当者(私)とサービススタッフが謝罪
・その場でクリーニング代を支払う
・新郎にご報告&謝罪
・お見送りの際に改めて謝罪

という流れでしょう。クレームはその日、その場で出来るだけ迅速に解決した方がスムーズなのは明らかです。

それでも。
幸いこのケースはお姉さまが電話してくださったので、知らずにいて悪い評判がいつの間にか広がっていってしまったとうような最悪のケースを逃れました。耳に届かないというのが一番怖いと思います。

今回のように「たまたま知ることができた」ものがあったということは、これまで「知らずに過ごしていた」こともあったのだと思います。



4.クレームを受けたスタッフを叱ってはいけない

私が過去に研修でお世話になった会社でアンケートに回答頂いてきた結果。(約1000枚)。
スタッフの皆さんの、接遇について知りたいものナンバーワンはズバリ「クレーム対応」です。

どんな業種にってもクレーム対応がお悩みナンバーワンです。
ところが「では皆さんのリクエストにおこたえしてクレーム対応の内容にしましょうね」という話をすると、管理職や経営者の方が「いや。クレームを受ける人は一部の人でしょ。その一部の人のために時間を割くのはもったいない」とおっしゃる場合があるのです。

「いえ。半分くらいの方がアンケートに希望なさっています…」と言っても「うーん。」という反応です。この反応からしても、前述しましたように上司の耳に入るクレームは少ないのでしょうが、それよりも何より問題なのは『クレームを個人の問題』と捉えていらっしゃるところです。

過去に色々なクレームについて検証させて頂きましたが、だいたい一つの組織に起こるクレームというのは似通っていて、大きく3つくらいに分けられます。

そしてどれもが「たった1人のあるスタッフの責任」ということはほとんどありません。チーム全体のシステムの問題だったり、少さなミスの積み重りだったり、過去の嫌な経験が引き金をひいていたり…。

クレームを減らすためには、クレームをみんなで共有し、チーム全体で取り組まないとなかなか解決しないのです。ですが、クレームを個人の問題と捉えている上司の方々は、きっとクレームを報告した部下を叱ります。叱らないにしても「君がもっと気を付けないと」「君がもっと改めないと」という話をします。

叱られた部下は納得がいきませんし、叱られるのが嫌なので次からできるだけ隠そうという傾向になります。そしてクレームは繰り返されます。

絶対叱ってはダメということではありません。叱らないとダメが人もいますから。

ただ、その前に
「クレームを報告してもらうことの方が大切」ということを申しております。
クレームを報告しやすいように報告を上手にシステム化していらっしゃる会社もあります。

ちなみに…
1つ前のテーマでの婚礼クレームに対して行った改善策はとても簡単なことです。
簡単なことですがこれでクレーム発生を抑えるどころか、かなりの予防になったと思います。

婚礼前のミーティングに
「何かあったらどんな些細な事でも私に報告してください。決して叱ったりはしませんし、必ず私がサポートいたします。安心してのびのびと笑顔でお仕事してください」と付け加えるようにしました。

この言葉をきくと、スタッフの顔が一瞬明るくなるのが分かります。
「何かあってもこの人が助けてくれる!」そういう安心感は職場の動きをとても良くするんだ!と学んだ出来事でした。



5.クレーム対応時に全身から出てしまう○○メッセ

何だか人を惹きつける人とそうでない人。何だか親近感がわく人とそうでない人。
その差は全身から「ウェルカムメッセージが出ているかどうか」ということは接遇のコンテンツに書きました。

両手をいっぱいに広げて満々の笑みで「ようこそ~私のところへ♪」という空気感があなたの周りに漂っているかどうかです。
実際にやってもいいと思います。

ではウェルカムメッセージの反対は何でしょうか。
ノーサンキューメッセージです。

クレーム対応時、人は全身からノーサンキューメッセージを出してしまいます。
「わぁ怖い」
「何でこんなに怒ってるわけ?」
「早く終わって欲しいなぁ~」
「何で私が言われなきゃならないの」
「お客様にだって問題があるんだし」

そう『心の中』で思っている事が、表情や態度や言葉となって表面化します。
それがノーサンキューメッセージです。

人間はそもそも動物として自分を守る本能がありますから、こうなるのは当然のことです。
ですがこれをお客様は敏感に察知し、場合によってはますます怒りが膨らんでいきます。

しかし、私たち人間は、クレームが発生した際にその相手を見てノーサンキューメッセージをコントロールすることが出来るのです。

人間は何か刺激を受けた際に、そレに対する反応を選択できる能力を持っています。
よく例えられるのが子どもをガミガミ叱っている時でも、学校の先生から電話がかかってきたら瞬時に「落ち着いた、明るい、優しい声で」「はい。大変お世話になっておりま~す♪」と言えるのです。これが人間の素晴らしいところです。

クレーム対応として「自分の感情に溺れずそれに対する反応は自分で選択できる」
と心得ておくだけでも落ち着いた対応が出来ます。




6.クレーム対応で一番やってはいけないこと

日本人はそもそも自己主張をすることを得意としていません。ですからクレームを言う側は「勇気を出して」「本当はこんなこと言いたくないのだけれど」主張している場合も少なくありません。まずはそれを心得ておきます。

少し前のことです。夫の誕生日に焼肉屋を予約して行きました。夫が焼肉大好きなので少し高めのお店です。しかし、期待とは裏腹に非常に対応が良くありませんでした。

新規オープンのお店で、まだスタッフが慣れていない、スタッフ教育が行き届いていないからなのでしょうが。それにしても非常にまずいものでした。

根本的な問題は「スタッフがオーダーを通し忘れていたために、予約していたのに40分待たされた」というものなのですが、それだけでしたらクレームにまでいかなかったでしょう。

その他にも
・水もお茶ももってこない
・呼んでようやく注文の飲み物を持ってくる
・スタッフが何にも横を通るのに誰もお客さんを見ていない
(だから注文が届いてないことも気づかない)
・指摘したら「機械が壊れた」と嘘をついた
・店長がを呼ぶまで謝罪に来ない
・謝罪にきても全く悪いという印象がなくただ「申し訳ございません」「私が把握しておりませんで」と言い訳ばかり

というようなことが重なったために夫の大激怒になったのです。

さらに
・食事が終わって会計する際に店長やスタッフの目の前を通ったのに謝罪の言葉や声掛けが全くない

さらに(笑)もうここまでいけば最もよくないケースの代表のようですが
・本当は18時に予約したかったのに、混むからという理由で、お店からの提案で17時30分に時間変更した
結局40分待たされたわけですから18時で良かったわけです。

まずいですね、非常にまずい対応です。
こういった仕事をしているので「ここのスタッフの対応はどこが良くないのか」と冷静に見ておりましたが、何から何までダメでした。

その中で何が最もよくなかったかと言えば
「店長の対応に心がこもっていない」ことです。

立て板に水のように謝罪の言葉や言い訳が出てくるのですが、全く伝わってこない。
「あなた何もわかってないわね」と心の中でつぶやいたものです。

私たちは「夫の誕生日に」「わざわざ予約をして」「しかもその予約の時間をお店に合わせて」来たのに。そういったお客さんの想いは全くイメージできないのです。

当然私たちが今後そのお店に行くことはないのです。

余談ですが、人は「復讐」をする生き物です。(少し心理学の話になりますがお付き合いください)
私たちは「もう二度と行かない」という方法で復讐しました。
私は心理学をやっているので復讐と認識して表現しますが、当然私の家族に「復讐」という意識はありません。

一般的には人は復讐という意識なく以下のような行動にでます。
「悪い評判を流す」「口コミサイトに書き込む」「怒鳴って迷惑をかける」「タダにしろと要求する」「弁償しろと要求する」というようなことをします。
これらは全部「復讐」です。

人は「やられた」と思ったらどこかで復讐をするのです。(そうやって精神衛生を保ちます)

ですからクレームが発生した場合、最もやっていけないのは
「お客さんを言い負かしてしまうこと」かもしれません。


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